高齢化社会における介護休業制度の現状と利用状況|企業の取り組みと課題

日本は急速に進行する高齢化社会に直面しています。この中で、介護休業制度の重要性がますます増しています。令和4年度の厚生労働省の調査によると、介護休業制度を規定している事業所の割合は、従業員5人以上の事業所で72.8%、30人以上の事業所で90.0%に達しています。特に大規模な事業所ほど導入率が高く、従業員500人以上の事業所では99.2%が介護休業制度を規定しています。産業別では、電気・ガス・熱供給・水道業や金融業、保険業などで高い導入率が見られます。

介護休業制度の内容については、ほとんどの事業所(96.1%)が介護休業の期間に上限を設けており、その多くは「通算して93日まで」と法定通りの規定を採用しています。また、一部の事業所では、6ヶ月や1年といったより長い期間の休業を認めています。

介護休業の取得回数については、制限を設けている事業所が81.8%を占め、そのうちの大多数が「3回(法定どおり)」の取得を許可しています。取得回数に制限のない事業所は18.2%です。

実際に介護休業を取得する従業員の割合は依然として低く、事業所全体の1.4%に過ぎませんでした。特に、男女ともに介護休業を取得した事業所の割合は4.6%で、女性のみが取得した事業所が66.0%、男性のみが取得した事業所が29.4%と、女性の方が取得率が高いことがわかります。

常用労働者に占める介護休業者の割合は0.06%で、女性が0.10%、男性が0.04%となっています。女性の介護休業取得者が全体の69.2%を占めており、男性は30.8%です。

介護休業期間の平均は「1週間未満」が最も多く26.1%、次いで「1ヶ月~3ヶ月未満」が25.3%でした。これらのデータは、介護休業制度が一定の普及を見せつつも、実際の利用はまだ限定的であることを示しています。企業が従業員の介護ニーズに応えるためには、制度の更なる充実と利用促進が求められます。

高齢化社会において、介護休業制度は企業にとってますます重要な取り組みとなっています。従業員の働きやすさと生活の質を向上させるために、より多くの企業が介護休業制度を導入し、利用促進に向けた取り組みを強化することが期待されます。これにより、介護が必要な家族を抱える従業員も安心して働ける環境が整い、企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。また、これからの高齢化社会において、人材確保の難しさを克服するための一助となることが期待されます。

社会保険労務士事務所CareHRでは、仕事と介護の両立に関する課題に対応し、企業の両立支援を行っています。さらに詳細なアドバイスやご支援が必要であれば、お気軽にご連絡ください。


投稿日

カテゴリー:

,

投稿者: