企業の成長や人材不足の解消には、中途採用が重要な鍵を握っています。しかし、中途採用市場には多くの課題が存在し、企業が適切な採用活動を行うためには現状を正確に把握することが不可欠です。
本記事では、2024年3月にマイナビ様から発表された「中途採用状況調査2024年3月版」のデータをもとに、社会保険労務士の視点から中途採用市場の現状と課題、そして解決策について解説します。
中途採用市場の現状
1.中途採用の活況
- 多くの企業が中途採用を積極的に行っており、特に即戦力となる人材の需要が高まっています。
- 2024年3月時点のデータでは、企業の約7割が中途採用を実施しており、前年と比較して増加傾向にあります。
2.人材不足の深刻化
- 特に製造業、IT業界、介護・福祉業界では人手不足が顕著で、経験者の採用競争が激化しています。
- 求人数の増加に伴い、求職者側の選択肢が広がり、企業が採用競争で勝つための工夫が求められています。
3.ミスマッチの発生
- 中途採用後の早期離職が依然として課題となっており、企業文化や業務内容とのミスマッチが主な原因です。
中途採用における主な課題
1.求人票の具体化
- 人材紹介会社の成功報酬は採用者の年収の約30%前後が相場で、中小企業にとって負担が重い。
- 求人広告の利用も数十万円から数百万円の費用がかかる場合が多く、採用効果が見えにくいこともある。
2.採用プロセスの見直し
- 即戦力として期待されるため、入社後のサポートが省略されがち。
- 明確な業務引継ぎやトレーニング計画がない場合、業務への適応が難しく、結果的にモチベーションの低下や早期離職につながる。
3.求人情報の不十分さ
- 求人票に「アピールポイント」が不足しており、求職者が仕事内容や働く環境を具体的にイメージできない。
- 「具体的な仕事内容」「職場の雰囲気」「キャリアアップの可能性」などの情報が記載されていない場合、応募者に魅力を伝えきれない。
中途採用を成功させるためのポイント
1.求人票の具体化
- 実際に行うタスクやプロジェクト例を詳細に記載(例:「〇〇ツールを用いたデータ分析」「顧客対応の80%は既存顧客」)。
- チームの人数構成やリモートワークの有無など、働く環境を具体的に説明(例:「営業チームは5人で平均年齢35歳」「週2回リモートワーク可能」)。
- 必須スキルや歓迎スキル、入社後に期待されるキャリアの成長(例:「入社後1年でチームリーダーに昇格可能」)
2.採用プロセスの見直し
- CUBICやSPIなどのツールを活用し、候補者の性格や職場適応力を客観的に評価する。
- 候補者のスキルを事前に確認するための短期的な課題やケーススタディを実施(例:「実際の顧客データを基にした営業提案作成」)。
- 候補者の価値観やキャリア志向を確認しながら、会社の理念やビジョンを丁寧に説明する。
3.仕事を教える体制を整える
- 先輩社員がマンツーマンで業務を教える体制を整備(例:「最初の3か月はOJT担当を専任で配置」)。
- 入社後6か月間の目標やスキル習得プランを設定(例:「1か月目に基礎業務を習得」「3か月目に顧客対応開始」)。
- 定期的な1on1面談を実施し、新入社員の不安や疑問に対応
4.労務管理の適正化
- 勤務時間、給与、福利厚生、評価基準など、労働条件を具体的かつ明確に記載。
- 新しい働き方(リモートワーク、副業可など)を反映した柔軟なルールを整備。
- ハラスメント防止ポリシーやメンタルヘルスケアの窓口を設置し、従業員が安心して働ける環境を提供。
社会保険労務士事務所として提供できるサポート
中途採用を成功させるには、採用プロセスから労務管理まで一貫した体制が必要です。社会保険労務士として、以下のようなサポートを提供します。
1.求人票の作成・改善
- 中途採用向けに、求職者が「この会社で働きたい!」と思える魅力的な求人票を作成します。特に、大企業の求人票が並ぶ中で埋もれてしまわないよう、中小企業ならではの強みや働きやすさを強調します。仕事内容や職場の魅力を具体的かつ分かりやすく伝えることで、応募者の心に響く求人票を作り、より多くの応募を集めるお手伝いをします。
2.採用プロセスの最適化
- 適性検査や面接の方法を見直し、求職者のスキルや会社との相性をしっかり見極められるようにアドバイスします。また、求人サイトや人材紹介会社の選定においても、中小企業に適した採用方法を提案し、コストパフォーマンスを最大化します。採用の流れをスムーズにし、ミスマッチを防ぎながら、企業と求職者の双方が満足できる採用を実現するお手伝いをします。。
3.労務管理の整備
- 社会保険労務士としての専門知識を活かし、法令に基づいた雇用契約書や就業規則を分かりやすく整備します。これにより、採用後に起こりやすいトラブルを未然に防ぎ、企業と従業員双方が安心できる環境を作ります。特に、中小企業特有の課題に寄り添い、法的リスクを軽減しながら、従業員の定着率向上につながる労務体制の構築をサポートします。社会保険労務士ならではの視点で、最新の労働法や助成金制度も踏まえた実効性のあるアドバイスを提供します。
4.オンボーディング支援
- 社会保険労務士としての法的視点とキャリアコンサルタントの専門性を活かし、新入社員が早く職場に馴染み、安心して働ける環境づくりを支援します。適性やキャリア志向に合わせた導入プランやフォローアップを通じ、定着率向上をお手伝いします。
【まとめ】中途採用の成功が企業の成長を支える
中途採用市場は活況を呈していますが、課題も多く存在します。成功するためには、採用活動の精度を高めることと、入社後のフォロー体制を整えることが重要です。我々は社会保険労務士として、またキャリアコンサルンタントとして、採用から労務管理までトータルでサポートし企業の持続的な成長をお手伝いいたします。社会保険労務士事務所CareHRまでお気軽にご相談ください。