2025年度の地域別最低賃金が厚生労働省から発表され、全国的に大幅な引き上げが予定されています。東京都では最低賃金1,226円(現行1,163円から+63円)となる見込みで、過去最大級の上昇幅です。
適用開始は例年どおり10月1日頃からとなります。
最低賃金とは?
最低賃金とは、国が地域ごとに定める「労働者に支払う賃金の最低額」です。
パート・アルバイトはもちろん、月給制の社員も対象となり、通勤手当や残業代を除いた基本賃金で計算されます。
もし時給換算して最低賃金を下回れば、違法(最低賃金法違反)となり、是正勧告や遡及払いが必要になります。
2025年度・全国の最低賃金の見通し
- 全国平均:1,045円 → 約1,110円前後へ
- 東京:1,226円(+63円)
- 神奈川・大阪:1,200円超へ
- 地方圏:1,000円を超える地域がさらに拡大
これにより、全国的に「時給1,000円未満」の地域はほぼ解消される見込みです。
中小企業への影響
最低賃金引き上げは、特に以下の業種で影響が大きくなります。
- 小売・飲食・介護など 人手集約型の業界
- 非正規雇用(パート・アルバイト)を多く抱える企業
- 地方で人件費を抑えてきた中小企業
最低賃金を下回った場合、労務リスク(是正指導・追加支払い・企業イメージ低下)に直結します。
企業が取るべき対応【チェックリスト】
- 自社の賃金水準を確認
→ 時給換算で1,226円(東京の場合)以上になっているか? - 地域ごとの水準を把握
→ 拠点が複数ある場合、事業所ごとに最低賃金を確認。 - 人件費シミュレーション
→ 引き上げ後の総額人件費を試算し、経営に与える影響を把握。 - 就業規則・賃金規程の見直し
→ 契約内容や規程が現行に沿っているか確認。 - 業務効率化・生産性向上
→ IT活用や業務フロー改善で、人件費増を吸収する仕組みづくり。
まとめ:最低賃金引き上げはチャンスでもある
2025年度の最低賃金は、東京都で1,226円をはじめ、全国的に大幅な引き上げが実施されます。中小企業にとってはコスト増加という課題がありますが、同時に人材定着・採用強化・生産性向上につなげる好機でもあります。
社労士としては、単なる「コスト負担」ではなく、経営改善のきっかけとしてこの改定を活かしていただきたいと考えています。
早めに自社の給与体系を点検し、安心・安全な労働環境を整えていきましょう。
ご不明点などございましたら、社会保険労務士事務所CareHRまでお気軽にご相談ください。